原田コラム

2008/08/12

CVD合成ダイヤモンド

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

CVD Diamond and Natural Diamond

ここにサイズ、カラー、クラリティー、プロポーションがほぼ同じの2つのダイヤモンドがあります。
じっくり見比べてみてください。
どちらかが合成ダイヤモンドです。
さて、皆さんにお分かりになるでしょうか。

残念ながら実物をルーペで見ても私には分かりませんでした。

向かって左がCVD合成ダイヤモンドで、右が天然のダイヤモンドです。
天然ダイヤモンドは合成ダイヤモンドのデータに近いものを選びました。

以下、CVD合成ダイヤモンドのデータです。

サイズ:直径約3.5mm(約0.15ct)
カラー:Dカラー
クラリティー:VVS1以上
カット:VG以上

CVDダイヤモンドの特徴は窒素を含まないTypeⅡです。

CVD Diamond on D-Screen

以前ブログで紹介しましたTypeⅠとTypeⅡを選別するD-Screenにかけてみました。

CVD diamond Type Ⅱa.

やはり、結果は黄色の点滅でTypeⅡです。

CVD合成ダイヤモンドは、通常無色は殆どないとされています。
今回のものも、HPHT(高温高圧)処理で退色させたと思われます。
その証と思われる痕跡がガードルに残っていました。
通常、ガードルは磨りガラス状か、細かいファセットがつけられているかの何れかです。
今回の合成ダイヤモンドのガードルは、その中間でファセットが僅かに残る磨りガラス状です。
初めて見る形状です。
推察ですが、ファセットのガードルをつけた研磨済みのダイヤモンドを高温高圧処理して、ガードル以外を再研磨したのではないかと思います。

CVD Diamond Girdle

左が合成で、殆ど分かりませんが、ガードルに少し面が残っています。
高温高圧処理をすると表面はかなり荒れるそうです。
容易に天然と選別できるようにガードルに痕跡を残したのか、プロポーションが崩れるので手をつけなかったのかは定かではありません。

また、蛍光は殆どありませんでした。
CVD合成ダイヤモンドの特徴のひとつとして挙げられていたオレンジの蛍光には合致していません。

皆さんが一番関心のある天然との鑑別ができるかの問いに対しては、「出来ます」とお答えします。
問題は、費用です。
また、石留めされている小粒のものは更に技術的な問題もあります。
では、消費者の皆さんは最終的に何を信じればよいのかと言うとこれはメーカーに尽きます。
もちろん、お店自体がメーカーの場合もあります。
例えば、合成調味料不使用、天然ダシのみで作っていますと言う食品を吟味するときに一つ一つ検査機関に依頼はしないはずです。
選ぶ基準は、メーカー(お店)だと思います。
宝石の装身具も全く同じで、判断の基準はメーカーです。
しっかりしたメーカーでしたら、使用している材料のTracability(追跡可能性)は取れているので鑑別の必要すらありません。
鑑別有りきではなく、メーカーの選択が最も大切です。
鑑別は、メーカーが再確認するためと還流品等の氏素性がわからないものに必要です。
メーカーを選んで、その刻印を確認しましょう。
刻印があっても、メーカーが分からないような刻印をしているものは責任回避しているので、避けた方が賢明です。

最後は宝石の装身具の買い方になってしまいましたが、メーカー選びの大切さをお伝えしました。

ここで取り上げたCVD合成ダイヤモンドは、弊社のオーナーがRenaissance Daiamonds様より寄贈していただいたものです。
この後は、全国宝石学協会さんに分析していただくつもりです。
CVD合成ダイヤモンドの詳しい説明は、全国宝石学協会さんのホームページにありますのでご覧ください。