原田コラム

2008/05/11

願う

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

中国の胡錦濤国家主席と中曽根康弘、海部俊樹、森喜朗、安倍晋三の歴代首相4人との朝食会が8日朝、東京都千代田区のホテルニューオータニで開かれた。

その席で、安倍晋三元首相が以下のように発言した。

「チベットの人権問題について憂慮している。」
「ダライ・ラマ側との対話再開は評価するが、同時に、五輪開催によってチベットの人権状況がよくなったという結果を生み出さなければならない。」
「そうなることを強く望んでいる。」

「これはチベットではなくウイグルの件だが、日本の東大に留学していたトフティ・テュニヤズさんが、研究のため中国に一時帰国した際に逮捕され、11年が経過している。」
「彼の奥さん、家族は日本にいる。無事釈放され、日本に帰ってくることを希望する。」

このニュースを聞いて、私の知人の境遇と同じことに問題の大きさを実感しました。
彼はウイグル出身で日本を代表する大学の大学院で博士号を取得後、結婚をして日本に帰化しています。
その後、宝石の研究所に入り、現在は日本の宝石学会のリーダー的存在です。
また、英語も堪能なので、国際的な舞台で日本の代表として発表し、関係者が注目しています。
日本の業界にとって、代えがたい存在です。

昨年、彼に私の友人が関わっているウイグルのエメラルド鉱山にいつか一緒に行こうと誘ったところ、外国に帰化した自治区の人間は、帰国すると中国の当局に不当な理由で拘束される恐れがあるので覚悟がいると聞かされ驚きました。
今回の安部元首相の話で現実味が増し、更に憤りを感じました。
彼の同胞が自由になり、彼が安心して帰国できることはもとより、中国が民主化されて、それぞれの民族が自治できる日が来ることを切に願っています。