原田コラム

2008/04/16

Basel Show 2008 総括

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

Basel show 2008 Hall 3

4月3日(木)~10日(木)の8日間Basel World 2008が行われました。約2,100の出展者に対して昨年比5%増の106,800人の訪問者がありました。

数年前から増えているロシア、中国のバイヤーに加えて、インドからのバイヤーも見かけるようになりました。
更にチェコやポーランド等の東欧とトルコといった拡大するヨーロッパ圏外側の新興国からの訪問も報告されています。
米国経済の減速による需要減を補えるかどうかが話題になっていますが、反応は業者によって様々です。

ダイヤモンドは、各研磨地で見ることがめっきり減った3~50カラットの大粒石が業者の力を誇示するようにショーウインドウに並んでいます。商品のルートが変わりつつあります。
人気のファンシーカラーのダイヤモンドもメレーサイズから10カラットを越えるものまで目立つ位置にディスプレーされています。
かつては天然と処理の判断が難しいため、マーケットに数えられるほど少なかったFancy Greenのダイヤモンドが、鑑別情報の集積と原石からの研磨の過程を公開することにより今ではバーゼルの会場だけでも幾つも見ることができるようになりました。
価格もレッドほどではありませんが、ブルーを凌ぐ価格がつけられているものもあります。彩度の高いものが存在するので、もう少し数が増えるとピンクのように人気が出るかも知れません。

今年、多くのメーカーが使っていた素材の一つがフラットダイヤモンドです。素材としては2,3年前からありましたが、ジュエリーとして一斉に登場したのは今年からです。ダイヤモンドの原石をスライスしただけのものですが、比較的場面が大きいのでデザイナージュエリー風にネックレスに沢山留められたものが多く出ています。
宝石に向かない低品質な原石を加工したものが殆どで、アイデアとしてはトルマリンの原石をスライスしたものと変わりません。
研磨技術の進歩と柔軟な発想がつくった素材といえます。輪切りのトルマリン同様にメジャーな素材とはなりえませんが、暫く目にする機会も出てくると思います。

ルビー、サファイア、エメラルドは原産地と処理の有無(程度)の表示が定着しています。特にビルマ産ルビーで3カラット以上の最高品質は同じ重量のダイヤモンドのD IFの価格を凌ぐものも珍しくありません。
無処理と処理とでは価格に大きな差がついていますが、無処理でも美しいものは僅かなので、鑑別結果の鵜呑みは禁物です。

モザンビーク産と思われるパライバタイプのトルマリンが小粒から20カラットを超えるような大粒までたくさんディスプレーされています。
塊でみるとブラジル産との違いが分かりますが、個別には近いものが存在するので産地の限定は難しくなります。
アフリカ産のレッドスピネルも話題になっていました。

ジュエリーのトレンドは相変わらず2ミリ前後の小粒メレーダイヤモンドをパヴェセッティングしたものです。地金価格の高騰からプラチナは少なくなりホワイトゴールドが主役です。
貴金属でメーカー独自のフォルムを作ってメレーダイヤの多寡で価格差をつけたものが殆どです。
どのジュエリーもコストダウンによりメレーが小粒になった結果、輝きが少ないのが残念です。