原田コラム

2008/01/06

本来の稀少性が炙り出す宝石の相場に

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

14.ct Diamond Rough with finger

明けましておめでとうございます。
昨年は予想を超えるアクセスをいただきありがとうございます。
皆様のアクセスが良いプレッシャーとなり、何とか更新を続けることができました。
今年もジュエリーの査定と資産性のある宝石の専門家として発信していきます。

さて、ここ数年のダイヤモンド相場は「管理相場から需給による相場へ」がキーワードでした。
ダイヤモンドの原石市場でDTC(De Beers)が7割、8割も占めていたころは、彼等の都合で相場を管理していましたが、現在は4割程度で寡占市場の1プレイヤーとなりました。
その結果、相場は徐々に需給を反映するものになりました。
言うならば、共産主義の計画経済から資本主義の自由経済に移行するようなものです。
具体的には、小粒や低品質なものが実質的に値下がりして、大粒で高品質なものが大幅に値上がりしました。
またBRICSに代表される新興国で新富裕層の出現したことが大粒で高品質なものを更に高値に押し上げています。
未だ大きなシェアを占めているDTCがプライスリーダーであることに変わりはありませんが、今後は更に需給を反映したものになって行くことでしょう。
商品の相場としては健全なものに移行していきますが、古い体制から脱却できない人たちにとっては淘汰の時代の到来です。

ルビーやサファイアやエメラルドの相場にも異なる原因から変化が出ています。
ジュエリーの大衆化の要請から加熱や含侵による処理が進んで、昔は宝石でなかった素材が宝石に変わりましたが、鑑別の進歩によって本来の宝石品質のものと区別ができるようになってきました。
それに伴い本来の稀少性が炙り出されて、無処理のものが値上がりして、処理のものが値下がりを始めました。
これからは、更に本来の稀少性-需給によるもの-が露わになっていくでしょう。

今後も「美しさと稀少性」について、できるだけ相場の動向も交えてお伝えしたいと思います。

写真は昨年、当社オーナーが購入した14カラットのダイヤモンド原石の写真です。(Gem Quality)