原田コラム

2007/12/04

香港オークション結果

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

Briolette 31.91ct D Flawless EX EX

先週11月28日(水)に香港でクリスティーズのオークションが行われました。

総額US$47,318,952(約52億円)
落札率80%(ロット数)、84%(金額)

相変わらず、好調のようですが、査定金額が高いため一時のような伸びはありません。

高額で落札された幾つかをご紹介します。

上の写真は、31.92カラット Dカラー Flawless のBriolette shapeのダイヤモンドです。
シンメトリー、ポリッシュともEXELENTと言う完璧を意図して研磨されたものです。
恐らくニューヨークで研磨されたと思いますが、最高のレベルの職人によって研磨されたことは確かです。
真ん中の4.36カラットのカイトシェイプのエメラルドは、コロンビア産でオイルの含侵の程度はMinorと軽微です。
一番上の3.22カラットマーキスシェイプのダイヤモンド(D IF)が小さく見えます。
落札金額(手数料込み)はUS$3,208,324 約3億5千万円 1カラット当たりUS$100,000

20.22ct D IF

こちらは、20.22カラット Dカラー Internally Flawless のエメラルドカットのダイヤモンドです。
落札金額(手数料込み)はUS$2,488,724 約2億7千万円 1カラット当たりUS$123,000

私の専門ではありませんが、香港のWallace Chanの作品が幾つか出品されました。
チタンを使った独創的なスタイルは、既に手法は出尽くしたと思っている業界人に新鮮な驚きを与えています。

出品された中で、最も感動した作品を一つご紹介します。

Cicada by Wallace Chan

2匹の蝉が向かい合って、何やら手にした宝石を自慢し合っているような構図です。
羽は、外枠と脈はチタンで作られ、オーロラのように透き通っている部分は、ロッククリスタル(水晶)とマザーオブパール(白蝶貝)の薄い板をはめ込んでいます。

Fire Opal Cicada by Wallace ChanBlack Opal Cicada by Wallace Chan

グレーのエメラルドカットのダイヤを抱えている方の背中にはファイヤーオパールのカボションが、一方ブラウンのマーキスカットのダイヤを抱えている方にはアメシストの台の上にブラックオパールがセットされていかにも昆虫的なリアリティーが与えられています。
お腹の部分にはイエローからブラウンのダイヤモンドのメレーが組み合わされて今にも動いて鳴きだしそうに見えます。
ルビーのカボションで目を強調して、生き生きした表情に仕上げています。

落札金額(手数料込み)は、US$141,375、約1千5百万円でした。
この金額が高いか安いかは、作品の稀少性にかかっています。
残念ながら、私はこの作家について殆ど知りません。
いつか調べてご報告します。

その他で目立ったところは、以下の通りです。

●15.01ct D IF クッションカット US$2,272,844 約2億5千万円
1カラット当たりUS$137,000

●24.45ct クッションカット カシミールサファイア US$1,769,124
約1億9千5百万円 1カラット当たりUS$69,000