原田コラム

2007/11/27

D-Screen

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

D-Screen本体

今年の6月13日のブログでHPHT処理(高温高圧処理)が発見されたと報告しました。
結果、今日までに同様の処理のダイヤモンドが更に一つ発見されています。
半年で2つとは少ないようですが、以前には1つも出ていなかったので深刻に受け止めています。

カラーレスのダイヤモンドの場合は、TypeⅡのダイヤモンドをHPHT処理(高温高圧処理)して、ブラウン味を抜いてより無色に近づけるような色の改善を行います。
殆どのダイヤモンドは微量の窒素を含むTypeⅠですが、窒素を殆ど含まないTypeⅡのダイヤモンドは僅かです。
諸説ありますが、実感では3~10%未満です。
幅があるのは、美しさを見極めて買い付けされたダイヤモンドを調べているので、オリジナル状態ではないことと、TypeⅠとⅡの境界はデジタルではなく、帯状のアナログ的なものであるためです。

諏訪貿易では原石の出所から研磨業者までTraceability(追跡可能性)が取れているもの以外のダイヤモンドの鑑別をラボにお願いしています。
そこで、鑑別代金の節約に、自社でTypeⅠとⅡを分けられないかと思っていたところに、アントワープのHRDでD-Screenと言う機械を販売していましたので、早速買って試してみました。

一番上の写真がD-Screenです。
ステプラー(ホチキス)のような姿かたちです。

D-Screen 本体

機械を開けところです。

D-Screen 本体オープン クローズアップ

的状になっている中心に対象のダイヤモンドを置きます。
マニュアルには0.20ct~10.00ctでカラーがD~Jのダイヤモンドのタイプの判別が可能とあります。

D-Screen シグナルD-Screen シグナル オン

側面に緑、赤、黄色のシグナルがあります。
スイッチを入れるとシグナルが断続的に点灯し、点灯が終わったら判別可能です。
緑色は、TypeⅠで黄色はtypeⅡです。
赤色は、機器の故障です。

D-Screen TypeⅠ置くD-Screen TypeⅠ判定

試しに所有の4カラットサイズのエメラルド(D VVS1)を載せると、緑色のシグナルが点灯しました。
これは、TypeⅠでした。

D-Screen TypeⅡ置く

次はブログの表紙にもある「ゴルコンダ ダイヤモンド」を試してみました。
「ゴルコンダ ダイヤモンド」は、典型的なTypeⅡとして有名です。

D-Screen TypeⅡ判定

結果は、黄色のシグナルが点灯しました。
看板に偽りはありませんでした。

因みにラボでTypeⅡと判断されたものも試験しましたが、結果は同じでした。
見た目は、シンプルな機械ですが、実力はなかなかです。

D-Screen ケースD-Screen 収納状態

ヨーロッパの商品らしく、このようにケースに収納されています。
充電池が内蔵されていますので、電源が無いところでも暫くは使用可能です。
但し、アダプターはヨーロッパ仕様なので、電源には変圧器が必要です。
価格は、2,475ユーロ(約40万円)です。
「安心」が買えるなら、決して高くはありません。