原田コラム

2007/09/28

拍手にご用心

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

年に何回か弊社のリングをお買い上げいただいたお客様より、「何度も使っていないのに変形した」と言うクレームをいただいています。
お客様の仰ることは疑っていませんでしたが、腑に落ちない時間を過ごしていました。

そのうち何人かのお客様がオペラやコンサートに行ったことが分かりました。

「もしかしたら、拍手ではないか?」

「まさか、拍手程度で。」

「でも、両手に指輪をしていたら?」

と言う議論から実際に試してみることにしました。

拍手前リングA拍手前リングB

このように、一般的なプラチナの指輪を2本用意しました。
費用の点から、宝石が留まっていない枠を使いました。

拍手

2つを薬指にして、30回ほど拍手をしてみました。
決して、感動して「ブラボー!」なんて叫びながらしているような強いものではなく、むしろ控えめな拍手です。

結果は、この通りです。
拍手後リングA拍手後リングB

地金の薄い方の指は、信じられないぐらい変形しました。
厚いほうは、殆ど変わりませんでした。

変形した方の手のひら側を拡大すると、打ち出しなべのような槌目がついています。
リングA拍手後槌目クローズアップ

因みに変形しなかった方は、この程度です。
リングB拍手後クローズアップ

そうです。
クレームをいただいたリングにも同じ槌目がついていました。

もし、これがエタニティーリング(全周に宝石が留まっているリング)でしたら、爪が変形して石が外れるでしょう。

皆さんも拍手が必要な場面では、リングは片方だけにしてください。
両手にされている時は、片方を傷つかないように子袋等に入れて、ハンドバックの内側のポケットなどに入れて、紛失しないように気をつけてください。

秋も深まって、オペラ、観劇、コンサートに良いシーズンです。
最後まで楽しい時間を過ごすために、覚えておいて下さい。