原田コラム

2007/08/13

ブラウンダイヤモンドの稀少性

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

宝石は取引する場所によってサイズや色の表現が異なります。

ブラウンダイヤモンド

これは、ムンバイで「+11 Brown」(プラスイレブン ブラウン)と呼ばれているロットです。
直径3~3.5ミリ前後で1粒が0.08~0.17カラットです。
11とはシーブと言う金属製のふるいの番号です。
+(プラス)は、その番号のふるいで落ちずに残ったという意味です。
反対に-(マイナス)は、その番号のふるいで落ちるという意味です。
000番、00番、0番、1番と続き、その後は0.5刻みで20番までの42枚が基本です。
ムンバイで買い付けをしているプロのバイヤーは、各番号の直径と平均石目方を記憶しています。

ムンバイでは、イエローやブラウンを色を淡いものから濃いものまで以下のようにロット分けされています。
因みにイエローはCape(ケープ)と呼ばれています。

TTLC(Top Top Light Cape)、 TTLB(Top Top Light Brown)
TLC(Top Light Cape)、 TLB(Top Light Brown)
LC(Light Cape)、 LB(Light Brown)
Cape、Brown
これ以上濃いものはファンシーカラーになります。

写真のロットは、一番濃い「Brown」です。
クラリティーは、I1~I2です。
現在、現地では1カラット当たりUS$60程度で取引されています。
研磨代が1カラット当たりUS$10ぐらいかかりますので、実質的なダイヤ価格は更に低くなります。

以前は、誰も見向きもしなかったロットですが、昨今のブラウンダイヤモンドの流行で今は人気のアイテムです。
ダイヤモンドのカラーの中でブラウンは圧倒的に多く産出されます。
その量は、Cape(イエロー)の10倍以上と言われています。
その比率はファンシーブラウンでも同様です。
ダイヤモンドの中でブラウンダイヤモンドの稀少性は高くありません。
美しいか否かは、意見が分かれますが、流行は流行と割り切って購入する覚悟が必要です。