原田コラム

2007/07/25

続 ムンバイ 買い付け

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

放射線でファンシーカラーのような色をつける処理は、私が業界に入った頃から行われているので既に珍しいものではありません。
ここムンバイでも最近、同様の処理石が多く見られるようになって来ました。
ティーラーに尋ねると、専門業者に依頼して3日で上がってくると言うのを聞いて驚きました。
恐らくカルカッタあたりで処理しているのではと言うことです。
現在は分かりませんが、以前問い合わせたところでは、アントワープでも米国に送って処理しているとの事でした。
放射線の施設のことは、分かりませんが、インドの核開発が連想されて、少し怖い気持ちになりました。
費用は、1カラット当たり25US$で出来るそうです。

放射線処理ダイヤモンド

これが処理されたダイヤモンドです。
サイズは0.25~0.7カラットです。
その会社の技術レベルによりますが、殆どの色が可能です。
以前は、この処理石のように如何にも怪しい色合いでしたが、
現在は天然のファンシーカラーと一目では見分けがつかないものになっています。
特に費用の点で鑑別を行わないメレーサイズは、問題です。

放射線処理前ライトブラウン

処理前のライトブラウンのロットです。
元が無色でしたら、もっと綺麗な色にあがりますが、
処理石に元手をかける業者は多くはありません。
因みに無色の高品質のものと比べると5分の1程度の価格です。

放射線処理 前と後

処理前と処理後のダイヤモンドをフェイスアップで並べてみました。

メレーサイズの綺麗なピンクやブルーは、天然と放射線処理では価格が100~200倍、場合によってはそれ以上違います。
本来、全く別に扱われる商品です。
我々業者は、traceability(追跡可能性)のしっかりした仕入れを行うことが第一です。