原田コラム

2007/06/16

ピジョンブラッド by GUBELIN

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

GUBELIN GEM LABは、トレードカラー用語の「Pigeon’s Blood Red」について下記のような説明をしています。
これも元は英文でしたが、分かりやすいように和訳してみました。
誤訳の可能性もありますので、引用はご遠慮ください。

Pigeon’s Blood Red

ルビーの中で、本当のピジョンブラッドレッド-最初にビルマのモゴックで発見された-は最も貴重で価値があり、物質的と言うより精神的な色です。

この魅力的な赤い色を言葉で表そうとするのは困難で、たとえ上手くいったときでも、その言い回しは書いた者と読んだ者に想像と解釈に余地を残します。
Eduard Gubelin博士はこのような言葉で語っています。
「ルビーは、その漆のごとく艶やかで煌きある表面の下に、ゆっくりとも燃ゆる赤い炎ごとく華やかに輝く色で人気があります。また、そのルビーという名称(RUBER=REDというラテン語から派生)は最も美しい赤を意味しています。淡く、ビロードのような陰影はピンクから濃い紫まで幅がありますが、最も高貴かつ貴重なニュアンスがあり、美の極致であるものは、深い赤色で満たしたピジョンブラッドレッドです。何よりも色づき、鮮明な赤い煌きでこの上ない贅沢なものがルビーです。」

この真に赤い色がどのようにそしてなぜこの「ピジョンブラッド」という名前になったのかについて多くの伝説や神話があります。
生きている鳩の目の中心の色に例えたものもあれば、殺されたビルマ鳩の鼻からの最初の2滴の鮮血に例えたものもあります。
もっと科学的な(しかし神秘的とは言えない)説明もあります。
James B. Nelson氏はこの神秘的な赤に対するもっと定量的な説明を求めてロンドン動物園に協力を要請しました。
ロンドン動物園のリサーチ部門はすぐに彼の依頼に応え、鳩の鮮血(ピジョンブラッド)のサンプルを送りました。
それは上述の稀少かつ独特なルビーの赤色とまさに合致する色でした。
(Journal of Gemology, 1985, XIX/7)

かつてビルマの商人が言っていた。
「ピジョンブラッドを見たいと言うのは神の顔を見たいと言うようなものだ。」
(A pilgrimage to Mogok-Valley of Rubies, R. W. Hughes)

如何でしょうか。
分かり辛いところもありますが、概念であることは理解できると思います。
皆様の理解が少しでも進むことを願います。