原田コラム

2007/05/08

エメラルドの含浸処理の程度

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

殆どのエメラルドにオイルや樹脂が含侵されていることは、既にご存知だと思います。

日本では一般的でありませんが、含侵の程度は、主な鑑別業者で統一されつつあります。

今日は、産地と処理の鑑別では世界的に有名なスイスのGUBELINとSSEFの表記をご紹介したいと思います。

□GUBELIN

1.Indications of insignificant clarity enhancement (僅かな)
2.Indications of minor clarity enhancement (少し)
3.Indications of moderate clarity enhancement (中位な)
4.Indications of prominent clarity enhancement (著しい)

SSEF

1. Minor amount of filler in fissures
2. Moderate amount of filler in fissures
3. Significant amount of filler in fissures
4. Filler in cavties: C1
5. Filler in cavties: C2
6. Filler in cavties: C3

「無処理」と呼ばれている透明度の改良を目的とする含侵が見られないものは、表現の差は多少ありますが、No indications(evidence) of clarity enhancement等の表現が一般的です。

以上の2社に米国のGIAと日本の全宝協(全国宝石学協会)も加わっているグループでは、
最も軽度な含侵に関しては、Mionrを使う合意が出来たようです。
ただし、伝統的にInsignificantの表現を使っているGUBELINは、引き続き使用するようです。
考え方としては、他社のMionrの範囲の中で更に軽度のものをInsignificantとしているようです。

エメラルドの結晶の性質から考えると無処理は、殆どありませんので、一流のジュエラーでもMinorまでは取り扱うと言うのが合言葉になりつつあります。
私も美しさを肉眼で見分けた上で、Minorまでは取り扱います。

残念ながら、日本の業界では含侵の程度について言及することに否定的なようです。
技術的には、世界のトップクラスの実力を持っている全宝協さんに期待したいものです。