原田コラム

2007/04/19

「宝石の稀少性」 ②

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

理論的に考えると前回のブログのようになりますが、実際に本当に稀少な宝石とはどんなものでしょう。

私は、以下の2点からサイズが大切な要素と考えています。

①オークション等の再流通市場での価格=人気度
②装身具としての価値

①の再流通市場では、商品が持っている本来の価値があぶり出されます。
たとえば、メレーダイヤモンドがプラチナや18金にたくさん留められた豪華なリングを3百万円で購入して、オークションに出品しても恐らく5分の1~10分の1程度の価格で落札されることが多いのではないでしょうか。
有名ブランドでも、そのスタイルの流行が終わっていると程度の差こそあれ傾向は一緒です。
再流通市場では、業者も参加するので中間マージンや分かりづらい工賃は考慮されません。
では、同じ3百万円で1.5カラットのマーキスシェイプのダイヤモンドソリテールリングを買っていたらどうでしょう。
流通マージンによりますが、メレーダイヤのジュエリーより有利な価格で落札されることが多いのが事実です。
これは、メレーダイヤのジュエリーは、同じようなものがたくさん作ることが出来るのに対して、1.5カラットのダイヤモンドの量は限られていることに対して市場が出した答えです。
②の装身具としての価値も再流通市場での価値に繋がります。
国や地方で宝石の好みは異なりますが、宝石は国際商品なので、長期には国際価格に収斂します。
日本人は、メインストンリングでも欧米より小粒で高品質が好まれると業界の方が良く言われます。
このようなジュエリーは、日本のオークションでは取り扱われますが、決して出品者にとって良い価格はつきません。
これは、宝石の価値以前に宝石のサイズとジュエリーのスタイルが合っていないことが要因です。