原田コラム

2015/03/17

香港ショーで見かけた珍しい宝石

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

ツイッターで出したなぞなその答えです。

その一

ファンシーカラーゾイサイト

答えは、タンザニア産ゾイサイトです。
もともと原石は褐色で加熱を施すととても綺麗なブルーになります。
トレードネームは皆さんご存知の「タンザナイト」で宝石名はブルーゾイサイトです。
原石の中に稀に褐色でないものが存在します。
画像はバイオレット、パープル、イエロー、グリーのタンザナイトです。
加熱処理は施されていません。
恐らく加熱するとタンザナイトになってしまうかも知れないので加熱する勇気のある人はいないと思います。
最近バイオレット、パープルのものを「ピンクタンザナイト」として売り出している業者もいます。
ゾイサイトは硬度6~7と水晶より軟らかいのでリングには不向きです。
仕事柄私は再流通のタンザナイトのジュエリーを沢山見ますが、表面にダメージがないものは殆どありません。
特に何かに当たることの多いリングは顕著です。

その二

カンボジア産 ブルージルコン

答えはカンボジア産ブルージルコンです。
ジルコンは複屈折(1つの光線を2つに分ける性質)が大きく、右の写真を見ると、宝石を通して見える稜線が二重になっているのがわかります。(ダブリング)
ジルコンはペリドットの約2倍の屈折率を持っており、厚みが増すと二重線の間隔が広がりますが、方向によって異なります。
光を分けない単屈折の宝石と、複屈折の宝石の鑑別は、二重線の有無を拠りどころとします。
また複屈折の宝石間では、拡大検査で稜線が二重に見える程度を目安にすることができます。(諏訪恭一著「宝石2」世界文化社刊より)
この宝石の特徴は鮮やかなブルーでありながら独特の柔らか味を持ち合わせていることです。