原田コラム

2013/08/28

GIA Tokyoがもたらす国際化 (1)

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

GIA

業界に気を使って昨年末にひっそりとスタートしたGIA(Gemological Institute of America)の東京支店。半年以上が経った今、業界にどんな影響があり、またこれからどんな影響があるか考えて見ます。

まず、日本におけるグレーディングレポートの歴史的背景から見ていきましょう。

GIAは「4C」で知られるDiamond Gradingを考案し自らの専門学校を通じてそのシステムを広めました。
日本でもAGTジェムラボラトリーがGIAより委任を受けてGIAの分校 GIA Japanを運営しています。
結果、4Cによるダイヤモンドのグレーディングが世界標準となりました。

Daiamond Gradaing ReportはGIA以外のローカルなラボでも発行していますが、Christie’sやSotheby’sの国際オークションで唯一通用するのは本家のGIAのレポートだけと言うのは以外に知られていません。
また欧米のブランド宝飾店でも殆どの大粒ダイヤモンドにはGIAのレポートをつけて販売しています。

では何故日本ではGIAのレポートは広まらなかったのでしょうか。

主な理由は費用と時間です。
GIAのレポートを取る場合は日本に支店がなかったので米国までの発送代と保険料を負担しなくてはなりませんでした。
ダイヤモンドは高価なので、それなりの便を使いますので送料だけで10万円以上は珍しくありません。
それに加えてお国柄から作業に時間がかかります。
1ヶ月以上待たされることも珍しくありません。
また海外ではグレーディングレポートがつけられるのは主に1カラット以上に限られていましたが、日本ではブライダル用の0.3カラット前後に需要が集中しています。
GIAは1カラット未満のレポート需要はあまり想定していなかったので、そのサイズだけ特別に安く設定していませんでした。
小さいサイズに送料と時間をかけてGIAのレポートを取ることは想定外でした。
また、日本では百貨店がジュエリー販売のリーダーで、それぞれの百貨店が幾つかの国内ラボを指定していた事とGIAが英語表記のみと言うことも参入の障壁になっていました。
更に日本のレポートは発行元が○○協会と公の機関のような社名に社印が押されて、立派なカバーがつけられていることも日本人の価値観に合っていたのでしょう。

続く。