原田コラム

2013/04/04

合成ダイヤモンド (5)

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

合成ダイヤモンドまとめ

○鑑別の決め手は成長構造
天然のダイヤモンドは立体的に成長する。
気の遠くなるような時間をかけて成長。
途中で成長が止まったり、圧力がかかることもあり成長の履歴一つ一つが異なる。
これはまるで木の年輪のようなもの。
これらの特徴を数多く見ることにより天然のダイヤモンドを理解することが重要。

○鑑別の重要性が高まる
現時点では天然と合成の鑑別は可能、但し鑑別に必要な機材は高額なため資金力が必要。機材があっても出た結果を判断できる高度にトレーニングされたオペレーターも不可欠な要因。
この条件に耐えうるラボは限られてくるであろう。
また少し訓練すれば誰でも出来るグレーディングだけのラボは存在意義を失うであろう。

○小粒ダイヤモンドはトレーサビリティ(traceability追跡可能性)が不可欠
鑑別は可能だが、小粒でも大粒でもかかる費用に大きな違いはない。
メレーダイヤモンドのような小粒で大量に使われるもの一粒、一粒を鑑別していくのは費用の面から非現実的。
宝石は原石の段階では天然と合成の違いが一目瞭然なので、どこから採れた原石を誰が研磨したか証明できるトレーサビリティを確立するのが現実的。
これはレストランや食品加工業者が仕入れた肉の識別番号を記録しておいて要請があれば提出できる体制と同じことが必要になる。
企業の姿勢が問われるため、それが出来ているブランドであるかが問われる。
現在、DTC(De Beers)が0.01カラットサイズまで鑑別できる機械を開発中だが、正確性と処理能力を高めるにはまだ時間がかかると見られるので、新産についてはトレーサビリティの確立が現実的。

○恐れず、騒がず、勉強を。
悲しいかな新しい処理や高度な合成石の登場はなくならない。
まず大自然が気の遠くなるような時間をかけて創造した宝石と、人間が効率を求めて作る合成石は全く異なることを認識する。
鑑別は常に後追いなので当初は混乱もあるが、恐れず、騒がず、常に新しい情報を得て行動することが大切。
また鑑別に頼らず、それぞれの宝石の出現率を体感して直観力を研ぎ澄ますことがプロには必要。
急に量が増えてきたり、安物が出回ってきたらおかしいと思わなくてはならない。

合成ダイヤモンド以上。