〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
昨日ジュネーブのChrietie’sでジュエリーオークションが開催されました。いくつかのオークション記録とともに期待通りの好結果になりました。
落札総額:SFr.35,115,325 約$38,000,000(約30億円)
落札率:100%(ロット、金額とも)
オークションのタイトルJewels for Hope:THE COLLECTON OF MRS. LILY SAFRAからも分かるように個人のジュエリーコレクションのチャリティーオークションです。オークションの売り上げは20の団体に寄付されます。
ベルエポックから現代までの66ロットはそれぞれの時代の逸品ぞろいです。まるで宝石博物館からその時代の代表作を集めたようです。特に現代を代表する作家のJAR(Joel Arthur Rosenthal)のコレクションの18点は質、量ともにオークション史上類を見ないものです。JARの作品は一般には殆ど露出しないので、オークションはまたとない機会です。今回は、高額大粒宝石とJARのコレクション全てを紹介します。
*Mrs. Lily Safra:慈善家としても有名な資産家。Forbesによると資産は10億ドル(約800億円)
Shape: Cushion-shape
Cut: Mix-cut
Weight: 32.08cts
Origin: Burma
Treatment: No indication of heating (SSEF)
見積価格:SFr2,800,000-4,600,000 ($3,000,000-5,000,000)
落札価格(手数料込み):SFr6,243,000 約6,740,000(約5億3,300万円)
1カラット当り単価:約$210,000(約1,660万円)
落札者:Amer Radwan
無処理でこのサイズの良質のルビーはオークションにもめったに登場しません。
透明度が若干劣りそのことが見積価格に反映されていますが、落札価格はルビーの価格としてはオークション史上最高額です。
如何にこのサイズの美しいルビーが稀少かが分かります。
SSEFのAppendixに『”Pigeon blood”と呼ぶに相応しい鮮明な赤色とモゴック鉱山の特徴を備えている』とあります。
Shape: Octagon-shape
Cut: Step-cut
Weight: 34.05cts
Color: D
Clarity: VVS1(potentially Internally Flawless)
Type: TypeⅡa
Size: 21.16×17.52×10.71
見積価格:SFr3,600,000-4,600,000 ($3,600,000-5,000,000)
落札価格(手数料込み):SFr4,742,200 約$5,200,000(約4億500万円)
1カラット当り単価:$150,000(1,190万円)
落札者:Chatila
縦横比1:1.20とバランスの良いエメラルドカットのダイヤモンドです。
画像にも透明度の高さが良く現れています。
ダイヤモンドの幅(短辺)で平均的な男性の薬指も覆ってしまう位の大きさがあります。
続く。