原田コラム

2011/02/23

GIAの戦略

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

GIA Grading Report

GIAとはGemological Institute of Americaの略です。
米国で宝石学の専門学校と研究所を運営している団体で、ダイヤモンドの品質分析に4Cを開発したことで有名です。
もともと4Cを使ったダイヤモンドグレーディングはGIA独自のものであり、長い間、専門学校の教育を通じて業界にその方法を広め、その甲斐があって4Cがダイヤモンドグレーディングの標準になりました。

GIA方式を勉強した方たちにより世界中にローカルなラボが数え切れないほど開設され、同時にラボ間の競争が激しさを増しました。中には支店を各国に作り規模が大きくなってGIAの存在を脅かすものも現れてきました。
これらのラボでは主にGIA方式のグレーディングを行っていますが、同じものではありません。

GIAは「ダイヤモンドグレーディングレポートは美しさや稀少性を保証するものではないので、結果につきましては専門家にご相談下さい。」という立場をとっています。
費用がけっして安くはありませんので、レポートを作成するものは本来1カラットを越える大粒ダイヤモンドが中心でした。

しかし、ラボ乱立と時を同じくしてインターネットによるダイヤモンド販売が競争に拍車をかけました。
現物を確認できないネット販売ではグレーディングレポートが唯一の拠り所です。
1カラット未満どころかメレーのようなサイズまで販促のためにGIA以外のより廉価なレポートが大量に使われるようになりました。

そのような状況下GIAも方針を転換し、2カラット未満でファンシーカラーでないダイヤモンドに限りプロットを省略したミニ版のレポートを競争的な価格で発行を始めました。

それが、Diamond Dossierです。

同時にラボはカルフォルニアとニューヨークに限定するという方針も変わりました。
主な研磨地や集荷地、又は将来性の高い研磨地にラボを開業して供給能力を高めました。
既に米国の他にMumbai(インド)、Bangkok(タイ国)、Hong Kong(中国)、Gaborone(ボツワナ)、Johannesburg(南アフリカ)にラボを開設しています。
源を押さえているので、数年前まで小粒ダイヤモンドでは珍しかったGIAのレポート(Dossier)がマーケットでの占有率を急速に伸ばしています。
現地のDossier付きのダイヤモンドは、消費地でもそのまま流通し始めています。
今後も世界的にGIAの占有率は伸びることが予想されます。

参考までにGIAの世界の拠点と機能を表にまとめました。
この表を見るとGIAの戦略が良くわかります。
GIA World Wide Service

Laboratory:ラボ(レポート作成)
School:教育(専門学校)
Lab Direct :レポート作成受付代行業者あり
Research:研究拠点
Instruments:鑑別器具

常に4C偏重には異を唱えてきましたが、ここでは論じませんので悪しからず。