原田コラム

2007/06/29

「特徴」と「欠点」

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

前回のブログにコメントをいただきましたの、この場でお答えします。

ダイヤモンドの不完全性で「欠点」になるものを以下に挙げます。
これは、私のダイヤモンドの仕入れのチェックポイントでもあります。
この項目以外にプロポーションやモザイク模様(パターン)のバランス、ポリッシュ、シンメトリーとファンシーシェイプの場合は形があり、全てを包括して判断します。

①肉眼でImperfection(亀裂、内包物)が見える。
一部のSI2とI1以下になります。
美しくありません。
従って、原則SI1以上が仕入れの対象です。

②白系以外の内包物がある
多くは黒色ですが、茶色やガーネットなどの赤系も含まれます。
肉眼で見えなくても、心地よくありません。
反対に小さなIncluded Cristal(内包結晶)などは、
天然の特徴となり、好んで買います。

③亀裂がある。
特にガードルから伸びている劈開面に沿っているもの。
外からの衝撃で伸びる可能性があります。

④曇っている(濁っている)
クラリティーグレードに影響するほど曇っているものは言うの及ばず、
少しでも透明度が悪いものは、仕入れません。
これは、一般の方に最も分かりづらいポイントです。
経験とサンプルとの付け合せで判断します。
同じカラー、クラリティーでも透明度は各々異なります。
窒素の入っていないタイプⅡを純粋で透明度が高いと信じている方もいますが、
中には曇っているものはあります。
やはり、レポートの鵜呑みは厳禁です。

⑤ブラウン、グレー味がある
無色は、別ですが、ファンシーカラーを含めて、
色の着いたダイヤモンドは多くが、ブラウンやグレーを含んでいます。
赤みの強いファンシーブラン等は例外ですが、
ブラウンやグレーを含むと彩度(鮮やかさ)が低くなり、くすんだ印象になります。
但し、ファンシーブルーのような稀なダイヤモンドは、
全くグレー味がないものは、殆どありませんので、
若干の譲歩は必要です。
特に気をつけなければならないのは、イエローです。
イエローにグレーやブラウンが入ると美しくありません。
殆どのイエローに多寡はありますが、グレーやブラウン味が入っています。
俗にケープと言われているZカラーまでのイエローの大粒を買うことがありますが、
100個に1個もグレー味やブラウン味のない美しいイエローはありません。
また、Fancy Vivid Yellowの中にもブラウン味が入っているものが多くあります。
逆にIntense Yellowに彩度の高いものもありますので、鵜呑みは禁物です。

⑥特別に強い蛍光性のもの
蛍光性については、プロも過敏になりすぎています。
肉眼で分からないレベルは気にしません。
また、同じラボでも表記にばらつきがありますので、必ず自分でも確かめます。

以上は多くの宝石にも当てはまりますが、カシミール産サファイアやコロンビア産エメラルド等は、僅かに透明度が低いことが柔らか味を与えて、産地の特徴になっていますので、単純ではありません。