〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
 宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
 世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
世界最大のダイヤモンド原石不落!
 そのニュースは瞬く間に世界中を駆け巡った。
 昨日Sothby’s Londonで歴史的なオークションが行われた。
 今まで発見されたダイヤモンド原石で世界で2番目に大きい1,109ctのオークションだ。
 しかも原石はDカラーのTypeⅡaであることが明らかにされていた。
 最高品質でこの大きさ自体が既に記録的だが、ダイヤモンド原石が一般のオークションで販売されることが歴史的だった。
ダイヤモンド原石はプロ向きにクローズの入札が一般的だ。
 元々ダイヤモンド原石は長い間De Beersの決まった顧客(サイトホルダー)にDe Beersが決めた値段で販売、管理されてきた。
 2000年にDe Beersが価格制御を放棄して以来、入札による販売が増えてきたが今回のような一般のオークションでの販売は異例だ。
 100年に一度発見されるか否かの稀少性の高い原石なので今回は特別であるかも知れないが、オークション会社と鉱山会社は新たな販売方法に賭けた。
 結果として試みは失敗に終わったが、英国のEU離脱の決定の直後と言うタイミングは気の毒としか言えない。
最終的に61百万ドル(約62億円)まで競ったが買い手が不透明な世界情勢から今ひとつ強気になれなかったことは想像に難くない。
 オークションが終了してからリザーブ価格が86百万ドルであったことが明らかになったがいささか高すぎた。
 売り手は今年の5月に同鉱山より産出された813カラットの原石が63百万ドル(1カット当たり約$77,500)で販売されたことから、これより高い価格を設定したと思われる。
 今回のビットの最高金額61百万ドルにオークション会社の手数料を入れると約68百万ドルになり1カラット当たりは約$62,000となる。
 買い手は813カラットの原石より採算が良くないと見ていたことが分る。
 今回の結果から鉱山会社は費用(手数料)と時間をかけて原石を売る事はしない可能性が高いので、下見会で見る事が出来た人は幸運だ。
今となっては盛り上がりませんが以下は原石発見のエピソードです。
この原石はカナダの鉱山会社Lucara Diamondが所有しているボツワナのKarowe鉱山で産出し2015年11月16日に同社のソーティングセンター発見された。
 発見したのは27歳の入社して5ヶ月未満の実習生Tiroyaone Mathaba氏。
 発見した瞬間に叫びたかった衝動を抑えて低い声で ‘God, it’s a diamond! It’s a diamond, it’s a big diamond!’とつぶやいたことから発見の感動が伝わる。
 Lesedi la Ronaとはボツワナの言葉(ツワナ語)で“Our light”。
 因みにボツワナとはツワナの地と言う意味。
					


