原田コラム

2016/02/25

Diamonnd Pipeline 2014 (4)

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
国別ダイヤモンドジュエリー販売金額

やっとDiamond Pipelineの終点にたどり着きました。
国別ダイヤモンドジュエリー販売金額です。
原石の産出金額16.54 $Billionがジュエリーとなって78.50 $Billionと約5倍になっています。
もちろんダイヤモンドだけでなく貴金属や製造に関する費用や流通マージンも含まれています。
ジュエリー全体の金額には貴金属だけの装身具やカラーストンジュエリー、真珠もあるのでもう少し多くなりますが、ダイヤモンドジュエリーの割合が圧倒的に高いので比率は大きく変わりません。

ダントツの1位は米国です。
絶え間ない移民の流入でジュエリーの購入に不可欠な消費人口を保ち経済成長を続けていることが地位を支えています。
但し、年齢構成では問題のない米国も富裕層と貧困層が増えて今までジュエリーの消費を支えていた中間層が減少して街の宝石店の閉店が続いています。
富の分配が問われています。

次ぎは約1割を占めている中国とインドです。
GNPでは米国の約6割と迫っている中国もダイヤモンドジュエリーの販売金額では約3割と発展途上です。
中国はこれから高齢化が急速に進むことを考えると、むしろ人口構成のバランスの良いインドの方が大きくなるかも知れません。

日本はバブルの頃は米国に迫ったことがあります。
今から考えると人口が3倍の国に迫ったこと自体がバブルでした。
失われた20年を経て10%程度を保っていましたが、ここ数年で7%となっています。
日本の金額が変わらなくても世界の市場規模が大きくなると更にシェアの低下もありえます。

日本と同程度の中東のシェアは産油価格しだいでしょう。
昨今の政情不安と産油価格下落では先行き明るくはありません。

中東ほどではありませんが、富裕層が消費の割合が高い香港と台湾が2%程度です。
トルコも新興国として上がってきましたが、地理的要因と政情不安で現在は期待されたほどの成長は難しい状況です。

このグラフにヨーロッパ諸国が入っていないのが不思議と思われるかも知れませんが、ヨーロッパ全体で10-15%のシェアがありますが、1カ国では2%に満たないものと思われます。

世界人口の増加と新興国の需要増加で市場規模は大きくなるとされて、源の供給が増えないことが心配されています。
幸運なことに宝石は他のどの商品よりもリサイクルが可能な商品です。
そのような状況になればリサイクル率は自然と上がってきます。
鉱山からの供給が徐々に減少していくと10年後に需要の3分の1をリサイクル品が埋めないと間に合わないと言う試算もあります。
環境保全を考えると鉱山開発が減ってリサイクルが増えるのは自然な流れです。
10年後のグラフがどう変わるか楽しみです

Diamond Pipeline 2014 以上。