原田コラム

2014/06/05

ダイヤモンド Style Guide

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

ダイヤモンド Style Guide

先月インク・インコーポレーションさんから発行された「ダイヤモンド Style Guide」にインタビュー記事が掲載されていますのでご紹介します。
「ダイヤモンド Style Guide」は内外ブランドのダイヤモンドジュエリーの概要とジュエリーを豊富に掲載しています。
加えて買い方やお店の選び方も丁寧に書かれています。
専門家が書いた本ではなく、ジュエリーのユーザーでもある女性編集者の目線でまとめられているのが特徴です。

以下掲載文です。

○ダイヤモンドのバリュー

ここまでダイヤモンドが注目されている今、私たちもダイヤモンドの資産性についてぜひ知っておきたいものです。
 そこで、日本のジュエリー界を100年以上に渡って牽引してきた諏訪貿易でジュエリーの査定をしている原田信之さんに、ダイヤモンドジュエリーの選び方について話を聞きました。原田さんは、長年世界中で宝石の買い付けを行ってきた宝石のエキスパートです。

知らない人が多い、“ 2種類のジュエリー“

「まずジュエリーには、“宝石の装身具”と“貴金属の装身具”の2つの種類があることを知ることが大切です。“宝石の装身具”とは、宝石を活かすためにデザインされているもので、どんな年齢の人でも着けられますし、流行と関係がないので、いつの時代でも着けられます。一方、“貴金属の装身具”はデザインがフォルムから入っているもので、付加価値をつけるために宝石があしらわれています。宝石を活かそうという発想ではありません。ひとつのブランドでも“宝石の装身具”と“貴金属の装身具”の両方を作っているところが大半なので、分かりづらいのですが、宝石を活かすデザインは宝石がある程度大粒でなくては成り立たないので、価格が高くなります。これが本当のジュエリーなのです。もちろん、パヴェダイヤを使い、流行を意識したデザインの“貴金属の装身具”も、身に着けて楽しむという大きな意味があります。これも大切なことです」
 ただし、ジュエリーを売却する時、“宝石の装身具”は買値と同じ位の価格で売れる可能性もあり、“貴金属の装身具”はかなり安くなってしまいます。ですから、ジュエリーの資産性を考える時には、この2つの区別が分かっていないとなりません。
 さらに、ダイヤモンドの石自体も資産性のあるものとそうでないものがあります。
「宝石の品質で大きさというのは、とても大きな要素なのです。ダイヤモンドだと、4Cという評価が広く知られていますが、大きさ以外の3C(カラー、クラリティー、カット)の部分を少し妥協しても、より大きなものを買った方が良いと思います。エンゲージリングの場合、男性もリング選びに関わってきますが、男性は基本的にスペックが好きです。そのため、3Cの評価がより高いものを求める傾向があります。すると、必然的にダイヤモンドの大きさは小さくなってしまいます。アメリカの場合は、エンゲージリングは1カラット以上を目指します。予算は日米で大きく変わりませんから、3Cの評価は低くなりますが、大きさがあると年齢を問わず身につけることも出来ますし、資産性も高くなります」

十年に一度くらい余裕資金で大粒を

 資産性を考えるなら、大粒のダイヤモンドを10年に1度位、何かのアニバーサリーに買うというのも良い。
「旦那様の車の金額位は理解得やすいとすると、車は普通100万円から300万円位でしょうか?その位の金額だと、ある程度大粒のダイヤモンドが買えます」
 ダイヤモンドジュエリーはジュエラーで買っても良いですが、オークションで気に入ったものを買えたら、大変お得とか。
「ジュエリーの価格はかなりの部分が流通マージンなのですが、
オークションでは流通マージンを除いた価格でスタートするので驚くような価格で手に入るチャンスがあります。ただし、見る目が必要です。一流ブランドのものはある程度信頼できるので、不安でしたらブランド物で選ぶのも良いでしょう」
 日本でも気軽に参加できるオークションがいくつかありますが、毎日オークションさんは出品数が多く手ごろな価格からありますので始めての方でも参加しやすいと思います。
 ダイヤモンドは選び方によって、確かに資産価値を持ち、経済危機、戦争等、有事の時ほどパワーを発揮します。しかし、原田さんは資産としてだけで買ってほしくはないと言います。
「宝石は“楽しみ半分、資産半分”という気持ちで買っていただきたいと思います。投機はしてほしくないです。身に着けて何十年も楽しんだ後も価値を持つものって、宝石しかないのです。ぜひ身に着けて美しさを楽しんで、心地良さを感じてほしいと思います」