原田コラム

2016/02/20

Diamonnd Pipeline 2014 (2)

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
供給業者別原石金額

このグラフは原石供給の2大プレーヤーであるDe Beers(デビアス)とAlrosa(アルロサ)のシェアを示したものです。
De Beersはかつて殆どの鉱山を傘下に収め原石供給の8割を握っていたことがある独占企業でしたが、現在は南アフリカ、ボツワナ、ナミビアに自社が権利を持っている鉱山とカナダの2鉱山がメインとなっています。
とはいっても40%近いシェアのリーディングカンパニーなので未だに影響力は大です。

Alrosaはロシアの上場企業ですがロシアと地元サハ共和国が株の75%を持っている国営ダイヤモンド採掘企業です。
ロシア内の殆ど鉱山と最近ではアンゴラ、ボツワナ、ジンバブエ等のアフリカでの採掘事業にも進出しています。

原石市場はDe BeersとAlrosaの2社で約7割を占めいている寡占状態です。
2社は販売手法からみると性格の異なる企業です。
De Beersは伝統的なサイトホルダーと言う長期契約で定期購入顧客が90%で残り10%が自由参加の入札で販売しています。
より安定を重視した体制です。
対するAlrosaは64%がサイトホルダー、スポット販売が21%で残り18%が入札制なので、より変動的です。
両社が歩調を合わせれば価格の調整は可能ですが、現在は入札制と言う需給に応じた販売も少なくないので思い通りにはいきません。

2社以外の独立系の企業の多くが入札制を取り入れているので今後の相場の変動はより大きくなります。
2000年にDe Beersが価格のコントロールを放棄したことで需給に応じて相場が変動する体制が出来、その後の資産バブルに伴って大粒ダイヤモンドが高騰しましたが、入札制が値上がりのピッチを高めたことも見逃せません。

Diamonnd Pipeline 2014 (3)に続く。